今回は『じっと手を見る』で直木賞候補にもなったことのある著者「窪美澄」さんの本で、タイトルは『アカガミ』です。
そんな名作を読んだので、感想やあらすじを紹介していきたいと思います!!
アカガミのあらすじ
主人公は介護職についていて、自身も母親の介護をしています。生活に不安を抱いていました。あるとき、ログという人物からアカガミのことを知らされます。
検査に合格すれば、生活費、その他もろもろを支給され、なんと母親の介護費用も出してくれる制度です。ただし、指定の場所、作中では団地と呼ばれる一室で同じようにアカガミを受けることにした人と子供を作ることが条件です。
主人公は流れるようにアカガミに申し込み、検査に合格し、手厚い引っ越し業者によって団地に引っ越し同じようにアカガミに申し込んでやってきた同居者と暮らすことになります。主人公は、初めはなかなか子供ができないで悩んでいました。
団地で知り合った女性に悩みを訊いてもらっていくうち、知り合った女性から妊娠、そしてさらに出産することになった友人に続く形で主人公も妊娠します。
出産すれば、団地よりも質の高いマンションに引っ越すことになり、引き続き生活費は与えられ、介護費も与えられます。食事の質も妊娠前より妊娠後の方がよくなっていきます。
同居人も貧困からアカガミを申請したという似た境遇を持つ仲でした。物語は主人公が出産して終わります。
アカガミから学んだこと
生きていくためにはやはりお金が必要だということです。
そして、生活に余裕がないと、明らかに怪しい制度でもお金がもらえるからと流されてしまいます。もし、主人公たちに介護をしなければならない相手がいなかったら。
生活に余裕があったら、この選択を選ばなかったでしょう。
貧困というのはただお金がない状態というわけでもなく、頭の使い方も鈍くなってしまうことも、考えたくても、毎日の食べ物のことを考えることに頭がいっぱいになってしまって、より大きなものごと、社会のことを考える余裕のない状態であると学びました。
アカガミから今後役立てたいことは?
生活に困っているからといって、お金につられて、すべてを他人に預け渡してはいけないということです。
主人公たちは預け渡す方を選んで、アカガミの施行した国が何を考えているのかわからないまま、調べないまま、ただ、目先のお金と生活の安定に目がくらんで、ずるずると流されていきました。
どんなに困っていても、どんなに魅力的でも、相手が何ものか、自分がそれをすることによって、相手がどんな得をするのか考えることが大切だと思いました。
アカガミの感想
これは、妊娠ができずに終わるパターンかなと思えばあっさりと妊娠し、これは出産が失敗するパターンかと思えばあっさりと出産して、あまり起伏がない物語でした。
主人公の相手の男性も、アカガミを勧める国に不信を抱いているのにもかかわらず、僕が守るという程度の台詞で特に行動も起こさずにただ、何か裏があるかもと繰り返すだけで、それを探ろうともしません。
ネットで調べる程度のことはするだけで、あまり事の重要さがわかっていない登場人物で、共感ができませんでした。
アカガミのイマイチだったところ
国の政策、アカガミで生まれた子がどうなるかが、明確に書かれていないことです。
アカガミの政策を反対するグループを匂わせる文章がありますが、その反対グループが何科問題を起こすことはなく、ただ存在する、しかし何もしません。
活躍しない登場人物は、は無駄に出してはいけないという物語の定石上タブーといえるのではないでしょうか。
物語の最後も、出産した子供が国に受け入れられなくて二人は逃亡しますが、二人には介護をしている親がいます。
そもそもお金に困っていてアカガミに申し込んだので、ただ、逃げるだけで終わらせるというのは雑と言わざるを得ません。
まとめ
小説としてはなかなかファンタジーな感じもありつつ…でもなんだか今のこの世の醜い部分をうまく表した内容でした。
あくまでも私1個人の解釈の内容ですのでぜひ!手にとって読んでみてくださいね♪
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